VDT症候群とは?
PC・スマホの見過ぎによる
心身不調の原因や
ケア方法について解説

パソコンやスマホが普及し、人々が毎日パソコンやスマホを見て過ごすようになりました。特に2020年以降は、テレワークの導入によってパソコンやスマホ・タブレットなどのディスプレイを見ながら行うVDT(Visual Display Terminals)作業が増えたという声もあります。

IT機器の発展によって多様な働き方が可能になり、世の中は便利になりました。しかし反面、長時間にわたるVDT作業を続けた結果、目の疲れや頭痛などの症状(VDT症候群)に悩まされる人が増えているのもまた事実です。私たちはどのようにしてVDT作業によるダメージから身を守ればよいのでしょうか。

この記事では、パソコンやスマホ、タブレットの利用が目や心身に与える影響や、VDT症候群を防ぐ対策をご紹介します。

目次

01.長時間のVDT作業が心身不調の原因に!?

VDT作業によって生じる目や体、そして心の症状のことを、VDT症候群(IT眼症)といいます。以前は、日頃から仕事でパソコンを使う人に特有の症状と思われていましたが、今は他の人々も同じような不調に悩まされるようになりました。

総務省が発表している「令和2年通信利用動向調査」によると、スマホを利用している人の割合は20代・30代の人のうちの9割以上、40代・50代の人のうちの8割以上にのぼるということがわかっています。

また、現代は子供も目を酷使する時代です。学校や学校外の学習でパソコンやタブレットに触れる機会が増えており、家でも動画を観たりゲームをプレイしていれば、目を使いすぎている可能性があります。

もはやパソコンを使うオフィスワーカー特有の問題ではなく、誰もがVDT症候群になる可能性が高くなっているのです。

では、VDT症候群になると具体的にどのような症状があらわれるのでしょうか。

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02.VDT症候群であらわれる症状とは?

パソコンやスマホ、タブレットなどで長時間作業をしていると、目のみならず体や心につらい症状があらわれることがあります。自分がVDT症候群なのではないかと気になっている人は、次の項目をチェックしてみましょう。

目の症状

  • 目が乾く(ドライアイ)
  • 目が疲れる
  • 目がかすむ
  • 目が充血する
  • 目がショボショボする
  • 視力低下

など

体の症状

  • 肩がこる
  • 頭痛
  • 首、肩、背中、
    腰がだるい、痛い

など

精神症状

  • 不安感がある
  • イライラする

など

03.知っておきたい!VDT症候群をまねく原因とは

パソコン・スマホ・タブレットの長時間使用によって目に不調が生じるのはなぜなのでしょうか。VDT症候群を招く要因を3つご紹介します。

VDT作業で目を使い過ぎる

パソコンやスマホ、タブレットを使って作業をしている人は、目を使い過ぎている可能性があります。

目は、水晶体という部分の厚さを調節することで対象物にピントを合わせ、ものを認識します。水晶体は、毛様体筋という筋に引っ張られたり緩められたりすることで厚さを調節します。毛様体筋は、遠くを見る時には緩んでいますが、近く時には水晶体を引っ張ってふくらませるという働きがあるため、緊張した状態です。長時間近くを見続けると毛様体筋が緊張したままになり、目の疲れを引き起こします。

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まばたきが不完全になり、回数が減る

VDT作業中は、まばたきが不完全になってしまい、また回数も通常の4分の1程度まで減ってしまうことも。

私たちの目の表面は涙で覆われており、涙はまばたきによって目の全体に行き渡ります。しかし、上まぶたと下まぶたがしっかり閉じない不完全なまばたきでは涙が行き渡らず、目が乾燥した状態になりやすいのです。また、VDT作業はドライアイ(目の乾き)の原因のひとつにもなっており、目に不調をもたらすきっかけにもなります。

VDT作業で目を酷使して角膜に傷がつく

角膜とは、目の表面にある薄い透明の膜のことをいいます。角膜は涙で覆われてはいますが、外に対してむき出しの状態になっているため傷つきやすいのです。角膜の一番上の層は角膜上皮とよばれており、通常は角膜上皮がバリアの役割を果たしていますが、傷がつくと細菌などの異物が傷口から入り込む恐れも。

注意したいのは、目が乾いた状態は涙が不足しており、目の表面に付着した異物がスムーズに排除されず、まばたきをするだけで傷がつく可能性があるということ。毎日のVDT作業で知らず知らずのうちに角膜に傷をつけているかもしれません。

04.VDT症候群を予防!日頃の注意点と角膜ケア

VDT作業による心身の不調をきたさないようにするために、普段から心がけたいことを4つご紹介します。

VDT作業中は休憩をとって目を休める

VDT作業での目の酷使は、目の疲れ・目の乾き・充血といったVDT症候群の症状を引き起こす原因のひとつになっています。仕事中は適切に休憩をとり、目を休める時間を作りましょう。

厚生労働省のガイドラインによると、心身の負担を少なくして作業するためにはVDT作業の連続時間が1時間を超えないようにし、間で10分から15分の作業休止時間を設けること、さらに、連続作業時間中にも1~2回の小休止(1〜2分の休止)を設けることが推奨されています。

出典:「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」(厚生労働省)

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パソコン・スマホ・タブレットを使う部屋の明るさを調整する

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VDT作業で目が疲れやすいという人は、目の負担を軽減させるために部屋の明るさを調整しましょう。

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、机上の照度は300 ルクス以上(食卓、洗面台、調理台などの作業に必要な明るさ)を目安とし、ディスプレイと書類を交互に見る作業では、明るさが著しく異ならないように推奨しています。照明はまぶしく感じることのないものを選び、ディスプレイと書類やキーボードの明暗の差が小さくなるように、ディスプレイの輝度やコントラストの設定で調整してみてください。
ディスプレイに太陽の光が当たると画面が見えにくくなり目に負担がかかるため、ブラインドやカーテン等で明るさを調整するのがおすすめです。

VDT作業中の姿勢は、いすに深く腰を掛け、背もたれに背を十分に当てて、足裏全体が床に設置するようにしてください。長時間同じ姿勢にならないよう、ときおり立ち上がることも推奨されています。
ディスプレイと顔との距離は40cm以上離し、画面は目の高さより下に設置するようにしてください。

また目のトラブルは、乾燥も原因のひとつになっています。エアコンなどで乾燥している部屋でVDT作業を行うと乾燥しやすくなるため、部屋の乾燥に注意しましょう。エアコンの風が直接当たってしまうと目が乾燥しやすいので、風が当たらない場所に移動するのがおすすめです。
また、目は下を向いている時と比べて上を向いている時の方が乾燥しやすいので、見下ろすような姿勢になる位置にディスプレイをセットしましょう。

メガネやコンタクトレンズの度を調整する

メガネやコンタクトレンズを使っている人は、度がVDT作業に合っているかどうかをチェックしてみましょう。メガネやコンタクトレンズは遠くがよく見えるように調整されたものを購入してしまいやすいですが、遠くに合わせたものが自分に合っているとは限りません。眼科で処方してもらう際に用途についてしっかり相談し、自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。
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ストレッチをする

VDT作業の前後、又は作業中でのストレッチなどの軽い運動は、身体をほぐすことができ、血流もよくなるため、VDT症候群の予防に最適です。ここでは、座りながらでもできる簡単なストレッチを紹介いたします。

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目のストレッチ

目のストレッチを行うことで、目のレンズ機能を調整する「毛様体筋」をほぐすことができます。

  1. 目を閉じる
  2. 目を大きく開ける
  3. 眼球を上下左右に動かす(顔は正面に向けたまま、眼球だけを動かす)
  4. これを3回繰り返す

首のストレッチ

  1. 右手で左側の頭を持って引っ張り、頭を右に倒しながら左側の首を5秒間伸ばす
  2. 反対側も同じように行う
  3. これを3回繰り返す

肩のストレッチ

  1. 両手を肩の上に乗せる
  2. そのまま、両肘で円を描くように、腕を後ろに5回まわす
  3. 同じように前方向に腕を5回まわす

角膜のケアをする

VDT作業で目を酷使していると、角膜を傷つけてしまう恐れがあります。角膜は傷がついても自己修復する仕組みになっていますが、乾燥によって涙が不足していたり、ダメージが大き過ぎたりすると修復が追いつかず、傷が悪化してしまうこともあります。

角膜の傷の悪化を防ぐために、VDT作業中は意識的にまばたきをするようにし、目が乾燥するのを防ぎましょう。

目の疲れを感じた時は、入浴中に目の周りを温めたり、ツボマッサージなどもいいでしょう。気を付けたいのはまつげの内側のアイメイク。まつ毛の生え際にあるマイボーム腺が詰まって涙の油分が分泌されづらくなってしまうので注意してください。

また、角膜修復成分であるビタミンAを配合した疲れ目に効く目薬を使うのもおすすめです。

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05.VDT症候群になったらどのような治療をする?

VDT症候群が疑われる場合は、早めに眼科で診てもらいましょう。症状に応じて、目の緊張を和らげる飲み薬や、目にうるおいを与える点眼薬が処方されます。

記事監修:東邦大学医療センター 大森病院
眼科 教授 診療部長/堀 裕一 先生

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