- INTERVIEW #02
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麗しの和菓子、一筋に見る作家の目
和菓子作家
ぽつりと落ちるしずく、かすかに香る季節の移ろい──。ともすると見過ごしてしまいそうな“刹那”をモチーフとした和菓子で人々を魅了する和菓子作家・坂本紫穗。ときに大手和菓子店から有名服飾ブランドまでさまざまなコラボ作品を手掛け、和菓子教室では数多くの生徒を教えてきた坂本に原風景とその想いを聞いた。
笑顔を生み出す魔法に
魅了されて
私が生まれた頃、実家は曾祖母まで一緒に暮らす大家族で、節目にはみんなで草餅や団子、水羊羹などの和菓子を作って食べていました。なかでも思い出に残っているのが、七歳離れた妹の誕生日。アレルギーで洋菓子が食べられなかったので、誕生日ケーキの代わりに和菓子屋さんできれいな練り切りを選ぶんです。ショーケースを見つめる小さな妹の笑顔を見て、子ども心に和菓子にはすごい力があるなあと思ったのを覚えています」
20代後半、自分が一生をかけて取り組めるようなテーマを探している最中に、偶然か必然か、和菓子の夢をみた。それまでは一人の会社員に過ぎなかった坂本だが、勤めていたIT企業を退職し、少しずつ人生の舵を切ることになった。和菓子作家の道へ。自分の人生を見つめなおしたときに、自分のなかにある和菓子の存在感に気が付いたのだという。
「とはいえ、当時の私には和菓子の知識も技術もほとんどありませんでした。なので、まずは和菓子屋さんを巡って自分の目と舌で自分好みの味や食感の方向性を探し、それを再現するためにコツコツと試作を重ねました。一見すると無謀とも思える挑戦ですが、そのときの私は本当にゼロからのスタートだったので失うものはなにもないと、その地道な状況を心のどこかで楽しんでいたような気もします」
独学で試行錯誤を繰り返した日々が、作家としての力を培っていた。
やわらかな作品を支える、
熱量と冷静さ
坂本の和菓子には、淡くやわらかな見た目とは裏腹に、確固とした設計がある。
「依頼を受けたら、目的を達成するために必要なステップを書き出して、スケジュールを組んでいきます。情報収集の時間、イメージを膨らませる時間、レシピを作る時間、試作の時間…スケジュール帳には朝起きる時間まで細かく書き込んでいます」
どれも作品づくりには欠かせないステップだが、何よりも大切なのは情報収集の時間。
「誰が対象なのか、どういう環境、状況で食べるのか……などの情報を徹底的にヒヤリングして、一つひとつ自分のなかにインプットするようにしています。そこから、少しずつ想像を膨らませていくことで自分なりの答え=和菓子のイメージが見えてくるんです」
繊細な色使いを生み出す
まなざし
今回の取材にあわせて制作いただいたのは、代表作にもなっている菓子『ひとしずく』。ほのかな青色がつやめくこの作品が、自身にとってターニングポイントになったという。
「試作の日々のなかで、自分は“透明感”が好きだと気づいたものの、心の奥底から喜びを感じるようなお菓子はまだ生み出せていませんでした。その頃、とある陶芸家さんの個展で開催されるお茶会のお菓子を制作する機会をいただきました。個展のテーマに合わせてあれこれと想いをめぐらせ、たどり着いたのが『ひとしずく』。一粒の雨を和菓子にしました。この『ひとしずく』が完成したときは、和菓子作家を目指した日からずっと作りたかった和菓子をようやく作れたような気持ちになりました。」
『ひとしずく』の魂といえるのが、色付けだ。寒天や砂糖をとりあわせ、煮溶かした液体に、繊細な目で少しずつ色を落としていく。
「色付けの作業は、目が疲れていない午前中からお昼くらいまでに行うようにしています。一度夕方に色付けの作業したことがあるのですが、次の日起きて見たら、イメージと異なる色味になっていたのがショックだったんです」
日常のなかで目のストレスを経験しやすい現代。いつの間にか角膜についた傷※や乾きは、目の疲れにつながり、作業の質にも大きく影響してくる。プロフェッショナルならなおさらだろう。※軽度なこすれによる
「和菓子の価値の一つは、食べたら無くなってしまうという存在の儚さにあると思うんです。だからこそ、その一時を存分に楽しめるように、きれいでおいしいものを作りたい。そのためには目も良い状態を保っていたいです」
母の目線も加わり、
次のステップへ
今年の夏には第一子が誕生し、公私ともに転換点を迎えている。新たな家族の存在が、すでに和菓子にも新しい色を加えているのだという。
「赤ちゃんって、ひとりではなにもできなくて、一瞬でも目を離したら危険が及ぶかもしれない。親は、常に冷静にどっしりと構えていなくてはいけないという心境が反映されたのか、私が作るお菓子にも心なしか少し安定感が生まれてきたような気がしています」
母という新たな視点が加わった坂本の活動は、今後ますますパワーアップしていくに違いない。
PROFILE
さかもと しほ
坂本 紫穗
和菓子作家
和菓子作家。オーダーメイドの和菓子を作品として制作・監修。和菓子教室やワークショップの開催のほか、映画『利休にたずねよ』公式タイアップ茶会や有名服飾ブランドのVIPイベントなどでの和菓子制作、創作和菓子「宗家 源吉兆庵」とのコラボレーションなど、活動は多岐にわたる。
関連情報
プロフェッショナルなあなた
目を酷使して
こんな症状が出ていませんか?
これらの症状の原因は
「角膜の傷※」
かもしれません。
※軽度なこすれによる
角膜修復を促し正常な状態へと導いてくれる成分のひとつ「ビタミンA」は、角膜上皮細胞にはたらきかけ、角膜の修復を促します。
※イメージ図
その「ビタミンA」に着目したのが
スマイルDXシリーズです
目の酷使などにより傷ついた角膜※を修復するビタミンAを配合。加えて、目の疲れやかすみ、かゆみ・充血などの症状に応じた有効成分を配合することで、不快症状を角膜から治します。
※軽度なこすれによる
スマイルDXシリーズ製品情報
繰り返す疲れ目などの
不快症状を角膜から治す目薬
スマイルDXシリーズ
※1 目やにの多いときなど。
※2 カラーコンタクトレンズをのぞくすべてのコンタクトレンズ(ソフト・O2・ハード・使い捨て)装用中に使用できます。
また、レンズを装用していないときにも点眼できます。