スマホの疲れ目を
今や私たちの日常に欠かせない存在となったスマホ。「使い過ぎて目が疲れた」「目を休めなければ」と思っていても、ついつい見てしまいますよね。
疲れ目は、放っておくと悪化して角膜にまで影響する恐れがあります。しかし、目がなぜ疲れるのかをきちんと理解すれば、実はスマホの使い方や日頃のケアで緩和させることも可能なのをご存知でしょうか。
今回は、スマホの見過ぎで目が疲れる根本原因と、いつでも始められる簡単なケア方法、そしてスマホの見過ぎ等による疲れ目に使いたい目薬の選び方を紹介していきます。
01 スマホによる疲れ目の症状
長時間にわたってスマホを使い続けると、目の疲れから以下のようなつらい症状があらわれるようになります。目の疲れに気付いたら、早めにケアをしましょう。
スマホによる疲れ目の症状
スマホやPCをよく利用する人は、次のような症状が出る可能性があります。
- ・目がかすむ
- ・ショボショボする
- ・充血する
- ・ドライアイ※
など
※ドライアイ（乾燥性角結膜炎）とは…目の乾き、疲れ、充血、涙目、異物感、痛みなど多岐にわたる症状を呈し、涙が不安定になるものです。
スマホによる疲れ目を放っておくとどうなる？
一時的な目の疲れは、通常であれば休息によって緩和されます。しかし、疲れ目を放置すると休息してもよくならず、肩こり・倦怠感・頭痛・めまいなどを引き起こすこともあるのです。また、近年はスマホの使い過ぎによってピント調整機能が低下する「スマホ老眼」に悩まされる人も増えています。
使い過ぎには気を付けているから大丈夫と思う方もいるかもしれません。しかし、画面を凝視しているとまばたきの数が減り、涙が蒸発しやすく目が乾燥した状態になります。涙はゴミや菌などの異物を洗い流す役割があり、乾いた状態だと十分に目の表面を覆うことができなくなり角膜がむき出しになります。この状態でまばたきをすると、異物をスムーズに排除できず角膜に傷がついてしまうこともあります。気付かずに目を酷使し続けると傷が悪化したりすることもあるので注意しましょう。
02 スマホを使うと目が疲れる原因は？
総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると、2020年時点でのスマートフォンの世帯保有率は86.8％（10年前は9.7％）。1日のモバイル機器利用時間は、全年代で平日平均105.8分、休日は126.4分。さらに10代20代では利用時間が長く、休日利用時間は230分以上という結果が出ています。
スマホの使いすぎによる目の疲れは幅広い世代の人々の間で問題視されています。
では、そもそもなぜスマホを使う人が疲れ目になりやすいのでしょうか。
出典：
「令和2年通信利用動向調査」（総務省）
「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」（総務省）
目が緊張状態になるため
スマホの画面を見ている時、目は近くに焦点を当てるために緊張した状態になっています。スマホを見ている時だけでなく、例えば読書や勉強で近くをずっと見ている場合も同様です。ただし、スマホの場合は画面からブルーライトが発せられており、散乱してちらつきやすいブルーライトの光を見ようとするため、目が余計に緊張して疲れやすくなることがあります。
目が乾燥するため
スマホを見ていると、目が乾燥してくると感じている人もいるでしょう。本来、目の表面にある涙はレンズとなる角膜を覆っています。しかし、目が乾燥すると涙が不足して目の表面がデコボコした状態になり、レンズとして正しく機能せずものが見えにくくなります。まばたきをして目の表面に涙が行き渡れば状況はよくなりますが、スマホを凝視しているとまばたきが不完全になったり回数が減ってしまったりするため、乾燥した状態のままものを見ようとして目に負荷をかけてしまうのです。
角膜に傷がつきやすくなるため
スマホを凝視し続けると、まばたきの回数が減り、目が乾燥した状態になります。乾いた状態でまばたきをすると目に付着した異物によって角膜に傷がつきやすくなり、傷ができた角膜は物が見えにくくなることがあります。
さらに、傷があることで角膜の表面が凸凹になり、物がぼやけて見えたりまぶしく感じたりすることもあります。ものがよく見えないと、無理矢理にでもピントを合わせて見ようとして目に負荷がかかるため目が疲れやすくなります。
03 スマホの長時間使用で角膜の傷が悪化！？
現代の生活スタイルや生活環境には、目そのものを傷つける要因がいくつも潜んでいます。例えば、エアコンの効いた部屋でスマホを使用するような場合です。エアコンにより部屋の空気が乾いていると目が乾燥しやすくなります。ただでさえスマホの見過ぎはまばたきを減少させ、目の乾燥を引き起こしますが、こうした環境で使用することでさらに目の乾燥が進んでしまいます。
目が乾燥していると目に付着した異物によって、まばたきをするだけでも角膜に傷がつく恐れがあるため、スマホを長時間利用すると角膜の傷が悪化していく恐れがあります。
スマホの長時間利用という問題は、大人だけでなく子供にも当てはまります。子供も、スマホでの動画視聴やゲームのプレイを日常的に行っており、また学校や学校外の学習でもパソコンやタブレットに触れる機会が増えています。スマホなどの見過ぎによる目の酷使は、もはやどの世代にも当てはまる問題と言えるでしょう。
角膜の外側にある角膜上皮は、新陳代謝が活発で通常5〜7日で細胞が生まれ変わっています（ターンオーバー）。傷がついた場合にも素早く傷を埋めて修復する機能が備わっているため、軽度な傷であれば自己修復できます。しかし、角膜が大きなダメージを受けていると修復が間に合わず傷が悪化してしまうことがあります。
では、角膜の傷リスクに気を付け、目の疲れを改善するためにはどのような対策をするとよいのでしょうか。
04 スマホによる疲れ目の改善法
目の疲れを感じたら、悪化させないよう早く対処しましょう。今日から始められる簡単なケア方法をご紹介します。
目を休めながらスマホを使う
スマホの長時間使用は、疲れ目の原因のひとつです。目の緊張状態を和らげるために、連続で使う時には途中で休憩を入れるなど、目を休ませながら使いましょう。
また、スマホを見ている時は「不完全なまばたき」になってしまいやすいので、上まぶたと下まぶたをしっかり閉じた「完全なまばたき」をするよう意識することも重要です。画面に集中しているとまばたき自体を忘れてしまうこともあるので、意識してまばたきの回数を増やすようにしましょう。
スマホや部屋の明るさを調整する
スマホの画面が明る過ぎると、まぶしく感じて目が疲れやすくなることがあります。スマホによる疲れ目を解消するためには、部屋を明るく保ち、スマホの明るさは抑えるようにするのがおすすめです。
スマホと目の距離を40cm以上離す
近くのものを見る時には目が緊張状態になって疲れやすくなります。特にスマホは画面が小さいため、パソコンやタブレットなどと比較すると目と画面の距離が近くなりやすいので注意が必要です。スマホを使う時は、目から40cm以上離すことを心がけましょう。また上を向くと目が乾燥しやすいので、ななめに見下ろす姿勢で使用するのがおすすめです。
睡眠を十分にとって目の機能を回復させる
目の疲れの回復には、睡眠が大切です。特に1日の睡眠時間が5時間を下回っている人は意識して睡眠をしっかりとるようにし、疲れを翌日に持ち越さないようにしましょう。なお、十分に寝ても目の疲れが緩和されない場合は、角膜の傷などが原因になっている可能性があるため注意が必要です。
目をあたためる
「目が疲れたな」と思ったら、目をあたためてケアをしましょう。
涙は、油、水、ムチンという3つの成分で構成されており、油は外側に膜を作ることで涙の蒸発を防ぐ役割を持っています。しかし、油の量が減ったり質が悪くなると油膜がしっかりと作られなくなり涙が蒸発しやすくなってしまいます。目が乾いた状態になると目の疲れといった症状が出やすくなります。
目をあたため、周りの血流をよくすることで、涙の質が安定して涙のバランスが整うことが期待できます。
目薬を使用する
スマホの見過ぎなどの酷使による目の疲れや乾き目で目薬を使用する場合は、症状があらわれたタイミングに合わせて適切に使用しましょう。パソコンやスマホなどをよく使い、目の疲れを感じやすい人は、細胞の生まれ変わりを助ける角膜修復成分が配合された目薬もおすすめです。説明文書などで目薬の用法・用量を遵守して安全に使うようにしましょう。
記事監修：東邦大学医療センター 大森病院
眼科 教授 診療部長／堀 裕一 先生
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この記事は医師の監修による
角膜の傷の解説であり、
目に不快症状がある場合は
眼科医に診てもらうことをおすすめします。
- 1日5時間以上、テレビ・パソコン・スマートフォンなどの画面をみている
- 1日中、目がゴロゴロする
- 目を10秒以上あけていられない
- 目が痛くなることがある
- 常に目が乾いてショボショボする
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