本当に目に悪い?
パソコンやスマートフォンの画面から発せられる「ブルーライト」の影響が気になり、何か対策したいと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし一方で、ブルーライトは目に悪いと気にはなっているものの、具体的に何がどのように影響するのかがわからない、あるいはどのように対策すればよいのかわからないという人もいるかもしれません。
そこでこの記事では、ブルーライトとは何なのか、私たちの体にどのように影響を与えるのか、そして体への悪影響を防ぐには何をすればよいのかなど、ブルーライトの基礎知識を解説します。
01 そもそもブルーライトとは?
ブルーライトと聞いて、ネガティブな印象を持つ方も多いと思います。しかし、ブルーライトは人が健康を維持するうえで重要な役割も持っています。
ブルーライトとは
ブルーライトとは、光の中の青色の光線のことをいいます。光には、大きくわけて「目に見える光」と「目に見えない光」の2種類があり、目に見える光は「可視光線」とよばれています。光には波長があり、人の目には380~780nmの波長のみが見えます。可視光線とは、波長がこの範囲にある光のことをいいます。
ブルーライトは、波長が380~500nmの光です。可視光線の中では最も波長が短い光線で、400nmよりさらに小さいものは紫外線、780nmよりも大きいものは赤外線とよばれています。紫外線・赤外線は目に見えない光です。
ブルーライトは体内時計を整えてくれる重要な光
ブルーライトは「パソコンやスマートフォンなどから発せられる光」と思っている方も多いかもしれませんが、実は太陽光にも含まれており、人がスマホやPCの画面を見る前から浴びているものでもあります。
網膜には、体内時計(サーカディアンリズム)をコントロールする役割を持っている視細胞があります。この細胞はブルーライトの波長と同じ460nmの光にのみ反応しており、太陽光に含まれるブルーライトを日中に浴びることで、体内時計を整えることができます。
体内時計が乱れると睡眠障害などが起こり、健康に影響が出てしまいます。つまり、ブルーライトは健康でいるために非常に重要な光ということになります。
02
どうしてブルーライトは
目や心身に影響が出るのか?
前述のとおり、ブルーライトは健康を維持するためには必要な光であり、朝の光は積極的に浴びたほうがよいとされています。しかし、パソコンやスマートフォンの普及による暴露量の増加や、浴びる時間帯によっては人の体に影響を与えてしまいます。ここでは目への影響と、心身への影響に分けて解説していきます。
ブルーライトが目に及ぼす影響
パソコンやスマートフォン、タブレットのブルーライトは、私たちの目にどのような影響を与えるのでしょうか。
ブルーライトによって引き起こされる目の症状
ブルーライトを目に長く浴び続けると、目の疲れなどがあらわれることがあります。
さらに、ブルーライトは網膜や角膜上皮細胞(角膜の最も外側にある細胞)に影響を与えるということが近年の研究によってわかってきました。角膜上皮は、本来であれば5〜7日のサイクルで新しい細胞に生まれ変わっていますが(ターンオーバー)、ブルーライトを浴びることで通常のサイクルが乱れ、新陳代謝が遅れてしまう可能性が指摘されています。
ブルーライトが目に影響を及ぼす理由
ブルーライトは、光が散乱して一方向に進みません。そのために光がチラついてまぶしく感じたり、目の疲れを感じたりすることがあります。
また、ブルーライトがエネルギーの大きい光であることも、目が疲れる理由のひとつ。光のエネルギーは、波長が短いほど大きくなります。例えば、波長の短い紫外線はエネルギーが大きいため、私たちは紫外線を浴びると日焼けをするのです。ブルーライトは可視光線の中では最も波長が短い、つまり最もエネルギーが大きい光であるということが、目を疲れさせる原因のひとつであるといわれています。
ブルーライトが心身に及ぼす影響
パソコンやスマートフォンのブルーライトは、私たちの心身にどのような影響を与えるのでしょうか。
ブルーライトによって引き起こされる心身の症状
パソコンやスマートフォンのブルーライトによって、頭痛や肩こり、睡眠リズムの乱れや睡眠不足にともなうイライラ感などがあらわれることがあります。
ブルーライトが心身に影響を及ぼす理由
上述の通り、ブルーライトは太陽の光にも含まれている光線です。そして、人間の体はブルーライトを浴びると目覚めるという性質があるといわれています。そのため、夜にブルーライトを浴びると体が目覚めてしまい、睡眠リズムが崩れてぐっすり眠れなくなったり、翌朝の目覚めが悪くなったりすることがあります。寝る前にスマートフォンを見るのを控える方がよいといわれるのは、このような理由があるからです。
ブルーライトは、目や心身に影響を与えます。しかし、毎日の生活からパソコンやスマートフォンと切り離すのは難しいのも事実です。では、どのようにしてブルーライト対策をすればよいのでしょうか。
03
ブルーライトの影響を
緩和する方法
パソコンやスマートフォンによるブルーライトの影響から心身を守るために、デジタルデバイスの使い方や仕事場の環境を見直してみましょう。簡単な対策を5つご紹介します。
パソコンやスマートフォンの使用時間を減らす
デジタルデバイスを使う時間が長くなれば、ブルーライトの影響はその分大きくなってしまいます。
「なんとなくパソコンを見る」「暇つぶしにスマートフォンを開く」といった行動を控え、「必要な時にのみ開く」「用事が終わったら画面を閉じる」という使い方に変えれば、デジタルデバイスの使用時間を減らせます。寝る前にスマートフォンを見る習慣がある人は、まずは就寝時の行動を変えることから始めてみましょう。
パソコンやスマートフォンの連続使用をやめる
ブルーライトによる目の疲れを緩和させるために、適切に休憩を入れて画面を見ない時間を作ることも重要です。VDT(Visual Display Terminals)作業の場合は、1時間ごとにディスプレイから目を離すというサイクルを基本にし、休憩時間には窓の外や遠くを見たり、目を閉じたりして心身を休めましょう。疲れ目に効くツボマッサージをして目の周りをリラックスさせるのもおすすめです。
ブルーライトカットメガネやディスプレイカバーを使用する
画面からのブルーライトの影響をやわらげる目的で、ブルーライトをカットしてくれるメガネやディスプレイカバーが市販されています。それぞれの製品の説明書などを確認し、用途に合ったものを使用してみるのもひとつの方法です。
部屋の照明やディスプレイの輝度を変える
ブルーライトの影響による目の疲れや心身の負担を軽減するために、部屋の明るさや画面の輝度の設定を確認してみましょう。
パソコンやスマートフォンを使う時は、部屋を明るくし、画面の明るさを抑えるようにします。また、間接照明などグレア(まぶしさ)防止の照明器具を使い、まぶしさを低減することで目の疲れをやわらげるのもおすすめです。
目薬を使用する
ブルーライトを発するパソコンやスマートフォンなどをよく使い、「目の疲れ」に対して目薬を使用する場合は、症状に適した有効成分が配合されている目薬を使用しましょう。また、細胞の生まれ変わりを助ける角膜修復成分が配合された目薬もおすすめです。ただし、さし過ぎは涙の栄養分を洗い流してしまうため厳禁です。目が疲れているとつい何度も使いたくなってしまいますが、説明書などで目薬の用法・用量を守って安全に使用しましょう。
記事監修:東邦大学医療センター 大森病院
眼科 教授 診療部長/堀 裕一 先生
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この記事は医師の監修による
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目に不快症状がある場合は
眼科医に診てもらうことをおすすめします。
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