目やにの原因は何?
「朝起きた時の目やにが多い」「いつもより目やにがねばねばしている」など、いつもと異なる目やにが気になることはありませんか。
目やにには大きく2種類あり、1つは新陳代謝によるもの。そしてもう1つは、病気や炎症によるものです。正常な新陳代謝で出る少量の目やにであれば問題はありませんが、目のかゆみ、充血、かすみ目など不快な症状が出ている時は角膜に傷がついてしまっている可能性も考えられます。
この記事では、目やにが出る理由などについて解説します。いつもと違う目やにに不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。
01 目やにが出る原因は?
そもそも目やにが出るのはなぜなのでしょうか。原因は次のようなことが考えられます。
角膜上皮の新陳代謝
目の表面は、角膜という透明の薄い膜で覆われていて、外側にあるのが角膜上皮とよばれる組織です。新陳代謝が盛んな角膜上皮は通常5〜7日のサイクルで古い細胞が新しい細胞に入れ替わっており(角膜ターンオーバー)、はがれ落ちた古い細胞は目やにとして外に排出されます。
朝起きた時に目頭や目尻についている少量の目やには、寝ている間に排出された老廃物であることがほとんどなので、正常な新陳代謝で出る少量の目やにであれば心配は不要です。
免疫反応や病気
目やにの量がいつもより多い場合や、状態が異なる場合は、免疫反応や病気が原因の可能性があります。免疫反応とは、目に入ったウイルスや細菌を排除しようとして闘う反応のこと。免疫反応として出た目やにの中には、闘った後のウイルスや細菌が含まれています。
サラサラした水っぽい目やにや、ネバネバと糸を引くような目やになど、いつもと様子が異なる場合は、免疫反応や結膜炎の可能性も考えられます。
02
眼科に相談すべき
目やにの症状とは
いつもと違う目やにが出る時や、次のような症状がある場合は、自己判断せず医師に診てもらいましょう。
目やにの量や状態が
いつもと異なる
目やには時間の経過とともに水分が蒸発して乾燥するので、「ネバネバしている時は心配」「乾いている時は問題なし」と一概にいえるものではありません。特に睡眠中の目やには、夜中にネバネバしていても朝起きた時には乾燥した状態になっているので、目やにの状態だけで原因を判断するのは不十分。目やにが多いと感じられる時や、いつもより目やにがネバネバしている時、色が異なるなど異変に気付いた時には、早めに眼科で診察を受けましょう。
目に違和感や異常がある
目やに以外にも、目のかゆみ、充血、かすみ目などがある時はアレルギー性結膜炎やものもらいなどの病気が原因の可能性もあります。病気によっては目やにを介して人にうつしてしまう可能性もあるということにも留意して対応しましょう。
また、目のかすみ(目やにが出る)の原因のひとつに角膜の傷があり、悪化すると視力低下などさらに重大な症状につながることもあります。違和感がある場合は、原因を自己判断せずに眼科医に相談してください。
03 角膜に傷がつくのはどんなとき?
私たちの目は、角膜という薄い膜で覆われています。角膜は直径1.2cm、厚さ0.5mmしかない非常にデリケートな組織です。目に異物などが入らないようバリアの役割を果たしているほか、レンズとしての重要な役割ももっています。
角膜には傷を再生する自己修復機能があり、傷がついたら速やかに傷を修復します。ただし、ダメージが多いと、修復が間に合わないこともあるため、どんなことが角膜の傷リスクになるのかを知っておくことが大切です。次のようなことに当てはまる場合は気をつけましょう。
パソコンやスマートフォンの長時間利用
パソコンやスマートフォンを見続けていると、まばたきの回数が減ったり、上まぶたと下まぶたがしっかり閉じていない不完全なまばたきになったりすることがあります。まばたきがきちんとできていないために涙が不足してしまうと、まばたきによってまぶたとほこりや花粉といった異物が擦れるだけで角膜が傷つくこともあります。
ドライアイ※
※ドライアイ(乾燥性角結膜炎)とは…目の乾き、疲れ、充血、涙目、異物感、痛みなど多岐にわたる症状を呈し、涙が不安定になるものです。
2003年に行われた日本眼科医会の調査によると、ドライアイを患っている人は国内に2,200万人以上。眼科で治療をしていない人を含めると、さらにその数値が大きくなるといわれています。ドライアイで涙の質が低下したり量が減ったりすると、角膜に傷をつけてしまうリスクが大きくなります。
コンタクトレンズ
合わないレンズや使用期限を過ぎたレンズを装用、汚れや傷があるレンズを使うことで角膜にダメージを与えてしまう可能性があるので気をつけましょう。
また、コンタクトレンズの装用中は目が乾燥しやすくなります。特に含水率の高いレンズは、レンズ自体の水分が蒸発すると周囲の水分を吸収する性質があります。その性質から涙を吸収してしまうため、目が乾きやすく角膜も傷がつきやすい状態となります。ソフトコンタクトレンズ装用者はドライアイになるリスクが大きくなります。
04
目やにが出る時の
対処法と角膜ケア
いつもと様子の異なる目やにが見られる時は、眼科で診察を受けましょう。
また、角膜を傷リスクから守るよう目のダメージを防ぐことも大切です。パソコンやスマートフォンを使う場合は、目の負担を軽減するために1時間に1回程度目を休める時間を入れましょう。また、涙の油分が分泌されるマイボーム腺の通りをよくするために、目の周りを温めて血流を促すのもおすすめの方法です。
角膜ターンオーバーが低下している時は、角膜の傷が原因の各症状に対応した角膜修復成分配合の目薬を使って角膜ターンオーバーの改善を図りましょう。
記事監修:杏林大学医学部 眼科学 教授
日本角膜学会 理事長
日本コンタクトレンズ学会 理事
/山田 昌和 教授
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この記事は医師の監修による
角膜の傷の解説であり、
目に不快症状がある場合は
眼科医に診てもらうことをおすすめします。
- 1日5時間以上、テレビ・パソコン・スマートフォンなどの画面をみている
- 1日中、目がゴロゴロする
- 目を10秒以上あけていられない
- 目が痛くなることがある
- 常に目が乾いてショボショボする